マスクマウントカメラ

アクションカメラ、ウェアラブルカメラと呼ばれる超小型ビデオカメラが着々と定着してきているようで、GOPRO一強を許さないほどに、いろいろな製品が市場をにぎわしております。

そんな中、周囲からの「カッコ悪い・・・。」「あやしい・・・。」「変・・・。」などという残念な視線を一身に浴びながらマスクにウェアラブルカメラを付けて潜るようになってはや数年。もはや、完全に「変なマスクの人」で定着しております(笑)

変といわれるのは、マスクマウントカメラだからなのか?それともこれを付けてる僕のことなのか?悩むところではありますが、追従してくれる人は結局いまだ周りに誰もおらず。(スタッフにも「これからうちはこれで行きます!」って言ったら「カッコ悪いからイヤです(泣)」って言われたもんなあ・・・。)

お客さんから見ると、謎の物体を付けているガイドさんなので見分けはつきやすいらしい(笑)
「それな~に??」って聞かれることもしばしばあって、「よく芸人さんがつけてるカメラ・・・。」というとすぐわかってもらえます。

まあ、実際のところ、数年前から須賀さん(20年以上前にはITCでお世話になり、現在は水中科学協会の大ボスとして君臨(笑))そして石川さん(JUDFの大先輩でマスクマウントアタッチメント製作者)にお会いする度、その実物や使っている様子を見せてもらって「榎田君もやったらいいよ」と薦めてもらい、「こうしてこうして・・・。とか」「使い方はね・・・。」とかそりゃもう丁寧にいろいろ教えてもらっていたのにもかかわらず、ぼくも最初はその特異な見た目に「・・・・・。」であったのは事実です。なんか水の抵抗もすごく大きそう(に見え)たし・・・。

で、とりあえず自作して実際使ってみると案外これが悪くない。いやむしろとても良い。

まず、潜水のすべてが記録できるということ。いわばダイバー用ドライブレコーダー。我々引率者の行動、そして視線のほぼすべてが記録されるために、どれだけゲストを見ているか(いないか)というのが如実にわかる(ばれる・・・?)。お客さんの挙動だってバッチリ記録。残圧チェックだってどのタイミングで確認して、うまくすれば申告圧いくつってとこまでも(ちゃんと見とけば)記録されます。自分のコンピューターを見れば時間や水深のデータもしっかり残ります。どう潜って、どう動いて、どう戻ってきたかだってもちろん残っちゃいます。

ガイドとしても、ゲストとしても、行動が適切であれば、安全潜水に向けきちんと行動をしている証明となり、行動に落ち度があれば、安全をないがしろにしている証明ともなってしまいます。ある意味下手なログや日報よりも記録としては非情なまでに正確極まりなし。

長らくこのお仕事をさせていただいとりますが、実際、自分の視線のすべてを改めて見直してみると、やはり反省点というのは多々出てくるものです。きちんと自分で毎回これを咀嚼できれば潜水自体の安全の精度が上がるのではないかと思います。

そして、マスクマウントを使うようになってから、コンパクトカメラを携行することがほぼなくなりました。お客さんの要望があったりすれば別ですが、ここんとこ静止画までも動画からの切り出しという形でウェアラブルカメラにすっかり依存。そんなこともあり、ブログやらフェイスブックの写真はすっかり動画からの切り出し。ひょいと撮った画像自体の綺麗さという意味では、(まだまだ不勉強なので)いわゆる「デジカメ」には譲ります。が、僕の視線がそのまま記録されているうえ、カメラを向けられてる感が少ないということもあり、お客さんの“よい顔“、”自然な顔”を記録できる機会は増えたように思います。(と同時に狙ってないのでその静止画像がブレてたりセンターがずれてたりってのも多いですけど(笑))




もともと僕自身が記念写真というのが苦手(ま、映る側からの話ですが(笑))ということもあったり、視線をもらうよりもスナップのほうが好きという、ものすご~~~~く個人的な好みもあったりで、あんまりお客さんの写真を撮らないもんだから、よそ様のお店に比べて圧倒的にお客さんのグループショットがなかったりするんですけどね(笑)

さて、じゃあウェアラブルカメラに何が苦手で、なにが記録されないかということですが、僕ら引率者が少し離れたところからお客さんのゲージをこそっと横目で見たりしてるとお客さんの残圧は記録されませんし(ちょっと離れてしかも視界ギリギリで見てたりする)そのタイミングもわかりにくいです。コントラストが低い中でもガイドの目が遠めの魚やなんやを捉えることはままありますが、残念ながらこの状況も(ウェアラブルに限ったことでもないですが)カメラには捉えきれません。指差した先の遠くの魚は分からないことも多いです(となると安全管理的にバディがきれいに映らないっていう距離にいたらちょっと問題ありですね。これもバレちやう)
あと、マクロも厳しいですよね。広角固定焦点ですから、デジカメみたいなズームやマクロっていうのは残念ながら期待するのがもはや間違い。(とはいうものの、最近は少しずつここいらを補完するオプションも出始めているようですが、ゴテゴテすると手軽・軽快を言う最大の特徴をスポイルしちゃうかなぁと思ってみたり?・・・)
こうしてみると、人間の目ってすごいなあと改めて感心してみたり・・・。

あとマスクの種類や締めこみ方にもよるんでしょうが、ストラップゆるめが好きなわたくし的には、スノーケリングの時には水から出ている時の重さが、マスクをずらす一因になる場合があったりなかったりあったり。
それと、お仕事の立場的なものもあるのですが、僕のカメラの動画は横にも縦にも、とにかくよく動く(廻る)。やれゲストだ、やれ海況だ、やれ生き物だとキョロキョロしまくり。第三者的に見ると超ブレブレの超揺れ揺れ。画面酔いするっちゅうの・・・。当然、静止画切り出しでもブレ写真量産(笑)

とはいえ、間違いなくどんどん便利に、高機能、高性能になってきているウェアラブルカメラ。そしてそのカメラの性格を最も効果的に発揮できる方法の一つであるマスクマウント。

今のところ、周りの声を聞く限り、そのマスクマウント普及への最大の難関は「見た目」なんだろうなあ・・・。(笑)