気になる・・・。“廃墟”

気になる・・・。“廃墟”

さて。

GWも終わり、陸も海も多少の落ち着きと静かさを取り戻しております。

写真のように、青い海を貸切で堪能することも今ならばあり得ますよね・・・。

で。

わたくしが生業としている「ダイビング」というものは、決して環境にやさしいことをしているわけではありません。

別のコーナーでも書いておりますが、「海の生き物たちにとって、本来なら、ありえない音(呼吸音等)、大きい接触ストレス(着底とか、やたら触ったりとか)、触れることの無い温度(体温等、海 の中では36度は高温です)、信じられない光量(水中ライトやストロボ)、下から湧き上がる巨大な泡(排気)。」など、僕達が海に与えるダメージはゼロなどではありません。

「環境意識の高い(はずの)ダイバーくらいなら・・・・。」というのも、ある意味幻想かもしれません。

写真はべつに人間のせいでこうなったわけではありませんが、直径2メートルくらいのテーブルサンゴがすっかり石化したものです。周辺にはもう少し小さなサンゴの、やはり石化したものがけっこうあります。このサンゴたちが生命を宿していたころはこの周りももっと魚などの命でにぎわっていたことでしょうが、御覧の通り、いまはまるで廃墟のようにただそこにあるまま、朽ちるのを待つのみの様にも見えます。かの蒼はそんな寂しさゆえの美しさかもしれません。

僕達が日ごろ使っているポイントなども、私の目から見ると年々荒廃してきているように見えます。古くからのゲストもそう感じている方が少なくないようです。

「ダイバーのせいだ!」と断言など出来るものではありませんが、「ダイバーのせいではない!」と言い切れる理由もまたありません。

少なくともその一員は僕達ダイバーが「侵入者」として何らかの影響を及ぼしている可能性があります。

僕らの仕事の性格上、お客様に安全に楽しんでいただくことが目的なのはもちろんわかっています。
でも、それでも、僕らの潜る海が新たな「廃墟」とならぬよう、ほんの少しの意識を持ってダイビングに臨んでみてください。

僕達ガイドは、お客様の楽しみのため、安全のため、そして同じくらい、そこにある海のために存在しているものと、僕は思っています。